発電機の点検をもっと世の中に。株式会社非常電源メンテナンスサービス


今回お話を伺ったのは、株式会社非常電源メンテナンスサービス(以下EGMS)の代表を務める沓名 裕城様。こちらの会社は、主に発電機の整備点検や負荷試験、また非常用発電機の新設や更新を手がける会社です。

発電機の整備点検・負荷試験とは、いざというときに設備が作動しない事態を避けるために実施するもので、2018年に消防法で義務付けられたことで需要が伸びています。

現在、全国における豊富で確かな実績により多くの取引先の信頼を獲得しているEGMS社ですが、そこに至るまでのお話や今後の展望についてお伺いしました。

節電・節水の営業経験が起業のきっかけ

ー起業されたきっかけを教えてください

当社は、私が韓国で勤めていた会社「LG」を退職して立ち上げた会社です。
LGに勤めていた頃の主な事業はバッテリーとLEDで、その他にも節水を取り扱っていました。

節電や節水の営業経験を積みつつ、一部バッテリーに関するコンサルティングを担当していたのが、今のEGMSの土台となっています。

現在はEGMSという会社名で定着していますが、起業した当初はまったく違う会社名でした。
一年でその会社は畳まざるを得ないことになりましたが、同じ会社の登記番号を使い、会社名のみ現在の「非常電源メンテナンスサービス」に変更して再スタートしています。

 

ー何故、そこから発電機の整備の事業を始められたのでしょうか?

EGMSで整備しているのは、一般的に非常用発電機と呼ばれる発電機です。
しっかり法律に基づいた点検・整備を広めようと思い立って始めました。前職の際に韓国のリチウムイオン蓄電池を日本に持ち込んで補修・作業しようとしたときに、法律の壁が大きく苦労したのですが、現在当社が手掛けている非常用発電機も該当する法律が一緒だということが分かり前職のノウハウを活かせることが出来たので非常にやりやすかったのです。すべてが上手におさまっていったので、これはもうやらなきゃいけないと思いました。

非常用発電機に関しては、右に出るものなし

ーEGMSの強みはどのような点でしょうか?

EGMSが手掛けている発電機の負荷試験が消防法によって義務付けられたのは、2018年6月1日。
義務付け以降は負荷試験を行わなければ是正勧告や状況に応じ行政罰等が課せられてしまう恐れがあるのですが、弊社以外にしっかりと負荷試験のやり方や意図を説明できる会社は多くはありませんでした。

その点で弊社は、発電機の負荷試験について、そのやり方や意図、そして試験を行わなければどうなってしまうのかすべて説明できます。それがアドバンテージとなって、どんどん依頼してもらえるようになったのでしょう。

ちなみに、非常用発電機は地下や屋上のいたるところにあり、全国23万台もありますよ。分かりやすいところだとスプリンクラーや消防の消火設備が設置されている施設には非常用発電機も殆ど設置されています。

 

ー負荷試験のやり方を教えて頂けますか?

使用するのはこのような機械です。

参照:https://www.egm-service.biz/fukashikenki.html

 

上部で熱を生成し、下部に付いている扇風機を使って熱を逃がすという、巨大ドライヤーのようなもの。わざと効率悪く熱を逃がす機械を用いて負荷試験を行います。
万が一この負荷試験によって上手く動作しないことが分かれば、報告書をもって是正勧告を出します。

 

ー非常用発電機を付けなければならない建物の基準があれば、教えて下さい

・延べ床面積1000平米以上

・不特定多数の人が行き来する場所

以上2つの条件を満たしている建物は、非常用発電機を付けなければ違法となってしまいます。たとえば簡単な造りのマンションだとしたら、広さが満たされていても「不特定多数の人が行き来する」条件が満たされていないため、付いていなくても違法にはなりません。しかしコンシェルジュが常駐していたりコンビニが敷設されていたりする規模が大きいマンションであれば、非常用発電機は間違いなく付けなければいけません。

非常用発電機が必要ということは、必然的に負荷試験も定期的に行わなければならないということです。

非常用発電機の負荷試験においては、おそらく他社と比較しても弊社はものすごく安い価格設定になっているかと思います。様々な会社の末端、最後の絞り口が当社にあたるため、安さでは右に出るものはいないかと。また負荷試験のほか、まだ問題がなさそうに見える非常用発電機に壊れている箇所がないかも徹底的に診断します。自称・エンジンの専門家ですから、診断のみならず整備だけのご依頼でも問題なく受け付けております。

このご時勢だからこそ、自ら動いて仕事を取りにいく

ー事業の拡大に向けて、協業したい業種はありますか?

今もっとも協業したいのは、ビルメンテナンス会社、不動産会社、消防会社です。
ビルメンテナンス会社については、電気系統まで取り扱っているところだと親和性が高いかなと。これは不動産会社にも同じく言えることです。消防会社については直接手が加えやすい利点があるので、消化器などを販売しているところに絞ってアプローチをかけていきたいと思っています。仮に明日から案件数が3倍になっても余裕で対応できます。

 

ー今後の事業の発展に向けて、現在の課題はどのようなものでしょうか?

国が細かい点検方法等をしっかりと定めてくれていない、マニュアルがない世界。
消防庁なども、まず何をどうしたらいいのか答えを教えてくれません。加えてこのご時勢、ただ待っているだけでは仕事なんて降ってきてくれない厳しい状況が続きます。そんな中、希望をもって目の前の仕事に打ち込める会社はなかなか少ないですが、EGMSは、それができる会社です。

正直言って、非常用発電機の点検や負荷試験って、決して派手な事業じゃないです。あらゆる業界の中でも群を抜いて地味な業界だと思っています。目の前の仕事に淡々と取り組みながらも、自分たちが携わる業界をもっと目立たせたい。そもそも非常用発電機のことを知らない人たちも多いと思いますし、そういった人たちも巻き込んで今後どこまで盛り上げていけるかだと思っています。

 

 

<株式会社 非常電源メンテナンスサービス(略称:EGMS)>

代表者:沓名裕城

設立 :2015年7月23日

資本金:650万円

本社 :〒140-0015
東京都品川区西大井6-15-8 春沢ビル1F

HP   :https://www.egm-service.biz/

 

[公開日]2020年05月26日
[取材] 畠山 和也 /臼井 華蓮[編]大久保 亮佑[著]北村 有