第4の生活インフラを守る。日本PCサービス株式会社


今回お話を伺ったのは、日本PCサービス株式会社の取締役を務める濱﨑慎一様。

日本PCサービス株式会社は、日本全国でパソコンやIoT機器のサポートを行っている会社です。
パソコンのお困りごとに24時間365日駆けつける「ドクター・ホームネット」のサービスのほかに、スマートフォンや家庭内のスマート機器に関するお客様へのサポートや、企業のオフィスのネットワーク環境をまるごと支える事業も運営しています。

創業の経緯から、近年の事業や今後の展望までをインタビューしました。

 

水道・電気の「困った」を解決するように、ITインフラのヘルプに駆けつけたい

ーー「ドクター・ホームネット」とは、どのようなサービスでしょうか?

ドクター・ホームネットは、「パソコンが起動しなくなった」「インターネットに繋がらない」などのお問い合わせに対して、最短即日でお客様先まで駆けつけ、お困りごとを解決するサービスです。店舗もありますが、訪問するケースが多く、年間訪問実績は16万件以上です。

メーカーや量販店などの大手企業様からご紹介いただき、お客様宅へ訪問するケースも多いですね。

 

ーーお客様宅へ駆けつけるサービスは、創業当初からの取り組みですか?

そうですね。当時はパソコンの世の中への普及はこれから、という時期でインターネット回線やパソコンで何か困ったことがあっても、問い合わせ後すぐに駆けつけてくれるサービスがありませんでした。

水道や鍵、車など身の回りの生活インフラや機械に何か起これば、購入した販売店ではなく、第三者機関に助けを求めますよね。例えば、車が故障したらJAFに電話したり。

今後、パソコンの普及が加速していくなかで、パソコンのサポートサービスのニーズは確実に増えていくと感じたことが、2003年に事業を開始したきっかけです。

 

ーーパソコン以外のスマート機器のご相談も多いのでしょうか?

多くなっていますね。「ドクター・ホームネット」と、当社グループ会社の「スマホスピタル」「スマホステーション」では、スマートフォンやタブレットの修理サービスをしており、現在は全国に100店舗以上あり、年間18万件以上の依頼があります。

スマートフォン以外にも、家庭内のスマート機器(IoT機器)のサポートも行っています。

最近は、高齢の方がいらっしゃるご家庭にコミュニケーションができるロボットが普及しています。このロボットも通信ができるスマート機器のため、何かあれば駆けつけたり、リモートでお話を伺って問題を解決しています。

 

ーー最近は、行政からの依頼で「GIGAスクール」の対応もされたそうですね。

はい。2021年3月まで対応したGIGAスクール事業では、小学校の児童用パソコンのキッティングを弊社が行い、各自治体や学校へ数万台をお渡ししました。

数千台規模のパソコンの初期設定を行うため、300坪の広大なフロアを借りて対応しています。今後は、2022年から高校でのプログラミング教育必修化に向けて、個人の所持するパソコンの導入や設定支援などを担う予定です。

 

ーーIT化やパソコンの導入が、学校でも加速していると感じます。

ただ、最近の小中高校生は、パソコンよりもスマートフォンの操作に慣れています。そのため、パソコンに馴染みがないというケースも実は少なくありません。

この課題を解決するために、当社のサポート経験豊富なスタッフが専門学校に講師として出向き、パソコン整備士検定の取得をとおしてパソコンの基礎を教える取り組みも始めました。学校と連携したIT支援には、今後も取り組んでいきます。

 

テレワークが普及し、法人企業からの依頼も増加

ーー高齢の方から若い世代までを幅広くサポートされていますが、貴社のお客様はBtoCがメインでしょうか?

事業開始当初はBtoCがメインでした。現在も一般のご家庭へ駆けつけるサービスに力を入れる一方で、テレワークや社会のDX化が進む流れを受けてBtoBの事業も強化しています。

当社はただ修理をするだけでなく、お客様が安心してサポートを受けられることを一番に考えてきました。例えば、直営店舗の駆けつけサポートは正社員が対応することによって、技術面・接客面でも高い品質が提供できるようにしています。また、積極的にパソコン整備士検定の資格取得を推奨し、知識を深める機会を作っています。

BtoCとBtoBで担当部門は分けていますが、どちらも現場に派遣するスタッフの品質を担保することで、他社様との差別化にもなっていますね。

 

ーー他社との差別化が品質面でできていることで、どのようなサービス提供が可能ですか?

一般のご家庭向け(BtoC)では、前述したようにお客様のお困りごとに最短即日で駆けつけるサービスを提供しています。また、その場で他のお困りごとをヒアリングして、持参した道具や部品を使って即時の対応も可能です。これは技術を持ったスタッフが在籍し365日待機しているからこそ可能です。

例えば、「パソコンがインターネットに繋がらない」というご相談を解決した後で、実は一部の部屋でネットが遅いなど派生するご相談に対応し、家全体のホームネットワーク環境を整備することもあります。

類似のサービスを展開する企業はいくつかあります。しかし、弊社の駆けつけサポートは全員が正社員です。これは、事業開始当初から一貫して「サポート会社」であるという方針で続けてきたからこそ成せる、大きな強みと言えます。

知識とスキルのあるスタッフばかりなので、最新のパソコンやスマート機器、LINE WORKSやZoomなどのソフトの依頼でも問題なく対応できています。

 

ーーテレワークが普及するなかで、サービスに変化はありましたか?

以前よりパソコンを自宅で使う機会が増えたこともあり、毎月1回ほど継続して利用されるお客様もいらっしゃいます。実は、弊社のお客様の20~25%程度がリピーターなんです。

このたび、「eおうち保証」などの定額の会員保証サービスを開始しました。eおうち保証は、名前のとおり、お客様の自宅にあるパソコンや、インターネットトラブルなどネットワークにつながる機器をまるごとサポートできるサービスです。

従来は1訪問ごとに出張料5,000円をいただいていましたが、訪問回数に比例して、お客様の負担が増えるという声がありました。そこで、定額料金を取り入れたところ、お客様も相談しやすくなったようで、電話のみでの解決も増えましたね。

また、法人の企業様向けにオフィスまるごとサポートとして「ぱそBIZ」という定額サービスを提供しています。例えば、ネットワークやシステムの入れ替え時の作業員手配からサポートが可能です。

ぱそBIZは、販売店様を通じてご依頼をいただくことが多いです。派遣の免許もあるため、ご希望に応じて常駐対応もしています。

 

全国のIoT機器をまるごとサポートしていく

ーー自社の課題として、思い浮かぶことはありますか?

事業開始当初よりお客様が困ったときに駆けつけるインバウンド型の事業を行ってきましたが、営業を強化することでプッシュ型へと変えていきたいですね。

実は数年前までは、営業を担う一般の社員がいませんでした。一般的な企業の人員配置とは異なるのですが、弊社では一貫して「サポート」に注力してきたため、必然的にサービスを行う社員の層が厚くなっていました。そのため、大手企業様への対応は、社長や数名の役員が行っていたのです。

今後「オフィスまるごと」の事業を展開していくためにも、営業スキルを高めた人材を輩出していくことが課題と言えます。

 

ーー今後の展望を教えてください。

定額の会員保証サービスで、一般のお客様のスマートホーム化を支え守っていきながら、法人の企業様に対するITシステムやネットワークの支援も強化していきます。

車の故障時にJAFなどのロードサービス会社に助けを求めるように、パソコンに何かあったときには弊社にご連絡いただけるように、知名度を高めていきたいですね。

今後は、パソコン・スマートフォン・IoT機器などのスマートデバイスは、電気・ガス・水道に続く「第4の生活インフラ」になっていくはずです。その第4の生活インフラをサポートする会社を目指しています。

 

 

<日本PCサービス株式会社>
代表者:家喜 信行
本 社:〒564-0052
大阪府吹田市広芝町9-33 プレシデントビル
HP  :https://www.j-pcs.jp/
[公開日]2021年7月21日
[取材]簑輪 萌子 [著]簑輪 萌子