今回お話を伺ったのは、給与即日払いサービスPaymeを手掛ける株式会社ペイミーの代表、石井達規様。
会社設立の経緯や会社が目指すもの、そして今後の展望などについてインタビューしました。
企業の人材採用課題と、個人のお金の問題を同時に解決
ーーPaymeというのは、どのようなサービスなのでしょうか。
企業で働く従業員様が、給料日を待たずに給料を受け取れるサービスです。申請から最短即日でお受け取りが可能で、弊社はこれを福利厚生サービスとして企業に提供しています。
現在日本では、お金のない人が非常に多いという現実があります。単身世代の2人に1人、20代では60%程度が貯蓄ゼロというデータも存在し、貯蓄がないことが社会課題となっているんです。手元に充分な現金がないことより、例えば友人との食事・大事なデート・結婚式への出席などを諦めなければならない、あるいは借り入れをしなければならない方々が数多くいらっしゃいます。
ここに課題を感じ、先代の社長が始めたのがこのペイミーという会社であり、Paymeというサービスです。一度働いて発生した給与をすぐに受け取ることができれば、一時的ではあるかもしれませんが、「お金がない」という問題を解決できます。
ーー若者の半数以上に貯蓄がないとは驚きです。「日本人は貯金好き」とよく言われますが…
そうですよね。でも、特にひとり暮らしの大学生で実家からの仕送りがない方など、このような問題を抱えている方はとても多いんですよ。
また、新型コロナウイルス発生以来、日払いの需要はますます増えています。特に、多くの若者にとって、現在、キャッシュフローは死活問題であると感じています。
ーー導入する企業にとっては、どのようなメリットがありますか。
1つ目は、人材採用・定着の課題解決です。
いま、パートやアルバイトの求人サイトで最も重視される条件は「給料の日払い」です。コロナ発生以前もその傾向はあったのですが、コロナ以降、「日払い」というワードの検索数は5倍にも膨れ上がっているんです。これだけ社会的なニーズが高まっていますので、給料前払いの仕組みを持つことは、採用や定着の面で効果があるわけです。
2つ目は、自社で前払いをするのと比較した場合の負担軽減です。
給料の前払いを自前で済ませようとすると、問合せ対応や、都度発生する前払い申請の取りまとめや振り込みなど、かなりの手間がかかります。そこで弊社のような代行サービスをご利用いただくと、このような負担から解放されます。
ーー従業員と企業、双方にメリットがあるわけですね。実際にサービスを利用したお客様からはどのような声が届いていますか。
エンドユーザーである従業員様からは、「お金がなくて家賃支払いが延滞しそうになったが、これを乗り切ることができた」「結婚式のご祝儀を準備できた」「引越しの初期費用に充てることができて助かった」など、嬉しいお言葉をいただいています。
また、企業様からは、「給料の前払いを導入したことで求人応募数が10倍に増えた」「Payme利用者の離職がゼロになった」など、採用や定着に効果があったという声が届いています。
目指すのは、お金や仕事への不安がない社会
ーーペイミーという会社が実現したい一番大きな価値はどのようなものでしょうか。
弊社では設立同時から変わらず、「資金の偏りによる機会損失のない世界を創造する」というミッション、そして「日本の給与をもっと自由に」というビジョンを掲げてきました。
通常、給料というものは働いてすぐにもらえるものではありません。労働の対価としてすでに発生していて、自分のお金であるにもかかわらず、受け取れるのは月末締めの翌月25日だったりしますよね。それによって諦めなければならないことがある、こういった機会損失ひとつひとつをなくすというのが、我々の目指してきたところです。
さらに、代表が先代から私に変わって半年が経とうとしていますが、これを機にミッションの再定義・再解釈をしようとしています。漠然とした言い方にはなってしまいますが、我々が最終的に目指すべきは「人の幸福度を最大化する」というところだと考えています。そして、その手段として、お金や仕事に関する不安がない社会の創造を目指します。
ーー石井様がペイミーに入社したきっかけはどのようなものだったのですか。
自分の目の前の人の生活が「今」変わるという瞬間に立ち会いたいというのが、入社の理由でした。私は前職では商社で海外のインフラ投資に携わっていたのですが、発電所を建てるようなプロジェクトというのは結果が出るまでに5年やそれ以上の時間がかかります。目の前の人が何か課題を感じていたとしても、すぐにアプローチできないということに歯痒さを感じていました。
そうしたときに当社と出会い、お金という生活に密着したものに関わるサービスを提供し、価値を「今」提供して人々の生活を日々変えているところに魅力を感じました。
ーーいまは人々の課題へ直にアプローチできる環境にご満足されていますか。
はい。ただ、その方々にとって本質的に価値のあるものが作れているかというと、正直まだまだそうはなっていないと思っています。
例えば、従業員様にご負担いただいている利用手数料。本来、お金に困っている方々にこのような手数料を負担いただくのは、望ましい形ではありません。日常生活に密着した課題を解決できる良いサービスであると自負していますが、まだまだ改善しなければならないところもあると感じています。
お客様の価値を最大化するために
ーー未来に向けて会社として取り組んでいることがあれば教えてください。
まずは、手数料を従業員様からいただかない仕組み作りです。給与前払いを通じて個人のお金の困りごとを解決しようとしていますが、現状ではどうしても手数料が発生し、これが従業員様の負担となっています。ここを改善し、最終的には従業員様の負担手数料ゼロを実現します。
次に、企業様側のメリットの明確化・最大化です。企業様にかかっている手間を減らす、採用・定着にもっと効果があるような機能を付け加えていくなど、企業様にとってのメリットをさらに拡大していきます。
現状では、企業様が積極的に手数料を負担されるという構図はまだ出来上がっていません。しかし、企業様側が受けられるメリットを最大化し、企業様にとっての恩恵が大きいサービスであることを弊社としても示すことができれば、この構図も変わっていくのではと感じています。
ーー事業拡大に向けて、協業したい業種はありますか。
勤怠システム・給与システム・労務管理システムなどを扱う企業様と連携ができれば、相互にビジネスを発展させられ、かつ、利用される企業様や従業員様の価値も最大化できると思います。
また、求人広告を扱う企業様とも組めれば、弊社のサービスをフックにすることで、より良い求人広告のプランをご提案いただくことが可能となりそうですね。
給料前払いは、新型コロナウイルスの影響もあって従業員様のニーズが高まってきていると強く感じますが、企業様における認知はまだまだ充分ではありません。弊社のみで全ての企業様に対し、こうしたサービスをご案内することには限界がありますので、採用や福利厚生に課題をお持ちの企業様に広くアプローチできるような協業ができると有難いです。
<株式会社ペイミー>
代表者:石井 達規
設 立:2017年7月7日
本 社:〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂一丁目12番1号 渋谷マークシティウエスト20階
HP : https://payme.tokyo/
[公開日]2021年6月23日
[取材]福丸 香緒里 [著]福丸 香緒里